税務
小規模事業者のための簿記講座【第6弾:負債・純資産の勘定科目を理解する】
1. 負債と純資産って何?まずは基本を押さえよう
「売上はあるけど、手元にお金が残らない…」そんな悩みを抱える個人事業主の方も多いのではないでしょうか?
それを解決するヒントが「貸借対照表(バランスシート)」にあります。ここでは、「資産」「負債」「純資産」の3つの要素が整理されていて、事業のお金の流れが一目でわかります。
[資産] = [負債] + [純資産]
つまり、「事業に使っているお金のうち、いくらが“借りたお金”で、いくらが“自分のもの”なのか」を示しているのです。
2. よく使う負債の勘定科目とは?
負債とは、「将来支払わなければならない義務」のことです。個人事業主にとって代表的な負債の勘定科目を見てみましょう。
勘定科目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
買掛金 | 商品や材料を後払いで仕入れたときの支払い義務 | 仕入先からツケで仕入れた在庫 |
未払金・未払費用 | 経費などの支払いがまだ済んでいないもの | 携帯電話代、外注費などの請求が来ているが未払い |
借入金 | 金融機関などから借りたお金 | 改装のために銀行から借りた資金 |
預り金 | 他人から預かっている一時的なお金 | 従業員の源泉徴収税額、社会保険料など |
▼図解イメージ:「負債」は支払い義務のある“他人のお金”
借入金:▲300万円
買掛金:▲20万円
未払費用:▲5万円
合計負債:▲325万円
3. 純資産は“事業主の持ち分”
負債と対になるのが「純資産」です。これは、事業の資産から負債を引いた“残り”、つまり財産がどれくらいあるのかを表しています。
勘定科目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
元入金 | 事業を始める際に自分が出資したお金 | 貯金から事業用口座に50万円入金 |
事業主貸 | 事業のお金をプライベートに使ったとき | 生活費を事業用口座から引き出した |
事業主借 | プライベートのお金を事業に使ったとき | 自分の財布から備品を購入した |
▼図解イメージ:「純資産」はあなたの財産
資産(現金・在庫など):400万円
負債:325万円
→ 純資産:75万円(あなたの財産)
4. まとめ:負債・純資産を知れば、お金の流れが見えてくる
負債と純資産を正しく理解することで、事業のお金が「どこから来て、どこに行くのか」が見えるようになります。
「借金が増えていないか?」「自分の持ち分は増えているか?」など、経営判断の材料にもなります。
✅ ポイント
・売上や利益だけでなく、「バランスシート」もチェックする習慣を
・負債が多くなりすぎていないか、定期的に見直す
・事業主貸・事業主借は正しく記帳して、事業とプライベートを分ける