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小規模事業者のための簿記講座【第7弾:収益の勘定科目と売上の管理】

収益の勘定科目と売上の管理
~今日からできる帳簿の見直しポイント~

売上は事業の「血流」ともいえる大事な要素。正しく記録し、適切な勘定科目で分類しておくことは、確定申告だけでなく資金繰りや経営判断にも大きく影響します。

このコラムでは、「収益ってなに?」「どんな科目を使えばいい?」「どうやって売上を記録するの?」といった疑問に答えながら、今日から使える実践知識をご紹介します。

1. 「収益」と「収入」は違う?知らないと損する基本のキ

収益は「売上が発生したタイミング」で、収入は「現金などが実際に入ってきたタイミング」のことです。

例:
6月1日に5,000円の商品を販売(掛け売り)、6月15日に入金された場合:
収益は6月1日、収入は6月15日
📌 ポイント:「請求書を出した日」や「サービス提供日」が売上日になる場合もあるので、契約形態や申告方法に応じてルールを決めておきましょう。

2. どれを使えばいい?収益に関する勘定科目の実例

勘定科目 内容 具体的なケース
売上高 主たる商品の販売による収益 飲食店の食事代、美容室の施術料など
受取手数料 仲介・代行による報酬 不動産紹介手数料、代筆サービスの報酬など
雑収入 イレギュラーな収入 廃材の売却代金、保険の返戻金など
受取家賃 不動産を貸して得た収入 自宅の一部を貸しているなど
受取利息 銀行口座などの利息収入 普通預金の利息など
📌 注意点:「売上高」に含めるべきでない臨時収入を混ぜると、税務上トラブルになることがあります。

3. 売上の記録ルール:こんなとき、いつ・いくら計上する?

ケース①:その場で現金を受け取った

→「売上高」として、その日付で収益計上。

例:6/10にお客様から現金で1,200円のコーヒー代を受け取った → 「売上高 1,200円」

ケース②:請求書を出して、後日振込(掛け売り)

📅 6/5:デザイン業務完了、請求書発行 → (借方)売掛金 10,000円 / (貸方)売上高 10,000円

📅 6/15:入金 → (借方)普通預金 10,000円 / (貸方)売掛金 10,000円

ケース③:クレジットカード払い

📅 6/10:販売3,000円(カード決済) → (借方)未収入金 3,000円 / (貸方)売上高 3,000円

📅 6/25:カード会社から入金(2,910円、手数料90円)
→ (借方)普通預金 2,910円 / (貸方)未収入金 3,000円 → (借方)支払手数料 90円

4. よくある間違いとその防止策

❌ 間違い①:すべての入金を「売上」にしている

経費返金や補助金なども売上として記録してしまうケース。

✅ 対策:補助金は「雑収入」、予約金は「前受金」などに分類。

❌ 間違い②:手数料差引後の入金額だけを売上に

✅ 対策:売上は総額で記録し、手数料は「支払手数料」で記帳。

❌ 間違い③:記録を後回しにして記憶に頼る

✅ 対策:その日のうちにメモ・記帳。会計アプリの活用も効果的。

🧾 まとめ:正しい売上管理で、経営と税務の安心を

収益の勘定科目を正しく使い、日々の売上を記録していくことは、個人事業の信頼性と安定性を高める第一歩です。

商工会議所では帳簿のつけ方や記帳方法についての個別相談も行っています。お気軽にご相談ください。

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