税務
小規模事業者のための簿記講座【第5弾:資産の勘定科目を理解する】
1. 資産の勘定科目とは?~個人事業主に必要な“お金の見える化”~
「資産」は、事業で使っている現金や銀行預金、売掛金などを指します。帳簿をつける際、「何に使ったお金か」「どこから入ってきたお金か」を、勘定科目で分類する必要があります。
個人事業主がよく使う資産の勘定科目には、以下のようなものがあります:
勘定科目 | 内容の例 |
---|---|
現金 | 手元の現金、レジ内のつり銭 |
普通預金 | 銀行口座の残高(事業用) |
売掛金 | 請求済みだがまだ入金されていない売上 |
備品 | 10万円以上の物品等 |
まずは、「現金」と「預金」を中心に、帳簿のつけ方をしっかり理解しましょう。
2. 現金出納帳のつけ方~小さな金額もこまめに記録~
現金出納帳は、現金の動きを記録するための帳簿です。ノートでもExcelでもOKですが、以下のような形式で毎日記録するのが理想です。
■ 現金出納帳の例:
日付 | 相手勘定科目 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|---|---|
4/1 | 売上 | 商品販売 | 10,000 | 10,000 | |
4/2 | 消耗品費 | ボールペン | 550 | 9,450 | |
4/3 | 交通費 | 商談移動 | 1,200 | 8,250 |
・「相手勘定科目」:利用目的に合う勘定科目を記載します。
・「摘要」:取引の目的や相手先を具体的に書くと、後から見返すときに便利です。
記帳を続けることで、無駄遣いの防止や現金残高の把握がしやすくなります。月末には必ず「実際の現金」と「帳簿上の残高」が合っているかを確認しましょう。
3. 銀行口座の管理と預金帳のつけ方~口座は“分ける”が基本~
事業とプライベートの支出が混ざってしまうと帳簿が複雑になります。可能であれば、事業専用の銀行口座をつくるのが理想です。
口座からの振込や引き落としは「預金出納帳」で管理します。
■ 預金出納帳の例(普通預金):
日付 | 相手勘定科目 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|---|---|
4/1 | 売掛金 | ネットショップ | 30,000 | 30,000 | |
4/4 | 光熱費 | 電気代 | 6,000 | 24,000 | |
4/3 | 通信費 | 会社の電話代 | 3,000 | 21,000 |
ネットバンキングの明細を毎月印刷・保存して、帳簿と突き合わせる習慣をつけると、漏れのない記帳ができます。
4. 記帳時のチェックポイント~税務調査でもあわてないために~
最後に、記帳の際に注意しておきたいポイントをまとめます:
✅ 領収書・レシートは必ず保管(特に現金支払いは証拠が必要)
✅ つり銭や仮払金も記帳対象(レジに置いてあるお釣り用現金も資産です)
✅ クレジットカード払いは「未払金」として記録
✅ 銀行の振込手数料も経費(「支払手数料」で処理します)
✅ Excelや会計ソフトでの管理もOK。手書きでも整っていればOK!
📝 まとめ:現金・預金の管理は「基本だけど最強」
個人事業を長く、安心して続けていくためには、「お金の流れを正しく記録すること」が何より大切です。
現金出納帳と預金出納帳を活用すれば、収支の見える化ができ、資金繰りの改善や節税対策にもつながります。
今回のポイントをおさらいしましょう
✅ 資産の勘定科目は「現金」「預金」「売掛金」などが中心
✅ 現金出納帳は毎日の入出金をコツコツ記録
✅ 銀行口座は事業専用に分けて管理をラクに
✅ 記帳の習慣化+領収書の保管=税務対策もバッチリ!
記帳は一見地味な作業ですが、続けることで「自分の事業の状態が数字でわかる」という大きな武器になります。
まずは今日から、現金の記録を1行だけでも始めてみましょう!
記帳に困ったら商工会議所にぜひご相談ください!